ぎりぎりフロッピー

あまりに物忘れが激しいので外付けHDの一つとします

全て忘れるお前へ

お前は全てを忘れる。ここで言うお前とはわたしのことである。
ハサミを探してようやく見つかったと思ったら、ハサミで何を切ろうとしていたのか既に忘れているし、冷蔵庫の中に何が入っているかはわからない。カレンダーに書き忘れた約束は、電話がかかってくるまで忘れているし、Amazonの箱が届いても何を注文したか覚えていない。
日常生活に限った話ではない。1分前に上司に確認したことも1本電話を取ると、確認した内容をもう忘れているし、一つの書類を任されているときに他の仕事を振られてそれまでやっていた書類を机の横に置いて他の書類を重ねでもしたら、その書類の存在すら忘れる。
 
つまり生きるのがとても大変だ。普通の人が普通のこととしてメモも取らずにやり遂げていることをお前は何一つできない。
だから諦めてメモをする必要がある。優しい先輩にいくら「これはそこまで重要じゃないからメモ取らなくてもいいんだよ」と言われても決して従うんじゃない。お前の物忘れの酷さだけを信じろ。
 
だが、お前は他の追随を許さぬ偉大な物忘れ王なので、メモをしたことすら忘れるだろうし、そもそもメモをなくす可能性が高い。
なので、メモは大学ノートが良い。ある程度大きくて存在感があるのでなくしにくい。色はやんちゃすぎないがそこそこ目立つ好きな色の好きなデザインのノートが良い。気分が上がるのは良いことだ。

それから、会社で教わったことは全て一冊のノートにまとめるべきだ。細かいカテゴリで分けようとすると絶対に途中で諦めてしまうし、ノートを分けようものなら絶対になくす。お前の無くし物の多さだけを信じろ。なんでもかんでも教わったことは片っぱしから、順番は気にせず前のページから記載していくべきだ。

書き方はシンプルに。ページを半分に折り、その半分に聞いたことを全部書き、もう半分に補足や自分なりのメモをしていく。せっかく大きな大学ノートなんだから広々と使った方がいいのではないかと言う意見もあるかもしれないが、お前はノートにまとめる力もまだないので、後後で自分なりの気付きや、わかりやすく書き直したりするスペースが必要だ。漫画を描くときのプロットとラフのようなものと思えば良い。

それから、一つのページに一つ以上の教えは書かない。余白がたくさん出てきてもったいない気がするけれど、後々に探しやすくする為にも、芋の蒸し方とりんごの剥き方は別のページに記載すべきだ。
 

ここで聡いお前は一つの事実に気づく。大学ノートはポケットに入れるには大きすぎる。その通りだ。だから折る。半分に折って縦長の棒状にして尻のポケットにいつでも入れろ。ダサいということよりもいつでもメモできるという状態をキープできる方が優先されるべきだ。社内で「映画監督みたい」と笑われたことはあっても、怒られたことはまだない。
元から小さいサイズの、それこそメモサイズのものにすればいいのではないかと天才的なお前は考えるかもしれないが、果たしてお前はその小さな小さなメモにお前の全てを託すことができるのか?お前には無理だ。大学ノートはお前の外付けHDである。
 
もしも偉い人と会う際など、お尻ノートが許されぬ敵地に、身一つで乗り込むことになり、スーツの上着に名刺とメモしか装備していけない時には、メモに記載するしかない。ただ、このメモにノートと同じように書いてはいけない。メモは後でノートにまとめるときに頭の引き出しから情報を出すためのタグ付けと思うべきだ。
文章は決して書くな。お前は文章を書くことと人の話を聞くこと、並行してはできない。剣を握らなければお前を守れない。剣を握ったままではお前を抱きしめられないことと同じだ。
帰ったらすぐにメモを見ながらノートに聞いたことを書くように。さもなければ全てを忘れてメモがゴミになる。時間との勝負であることを忘れないように。
 

 
ここまでを30分で書きました。30分程度で書くのを週に2、3回で継続していきたいです。
次は仕事中に他の仕事を振られたとき、それまでやっていた仕事の存在を忘れてしまうことの対策を考えて行きたいです。